がんばれ絶望先生

その昔、某アニメショップでアルバイトしていた頃の話です。

その日、私は小学館が主催するイベントの会場で物販ブースにいました。
思ったより“ちみっ子”が多く、「うしおととら」のビデオ予約もグッズの販売も
それほど伸びそうに無いと判断した店長は早々に撤収し売り場には私一人。
うしおととらOVAの上映が始まり、漫画家の皆様が無事控え室に引っ込んだ後に
売り場を見に来た小学館プロダクション社員の方と談笑していました。

そこに、当日のゲストの一人である藤田和日郎先生がふらりと現れたのです。

慌てて接待モードに戻る小学館プロダクション社員に適当な返事をしつつ、
藤田先生は「とらのぬいぐるみ」をしげしげと眺め
「コレよくできてますねぇ」と仰いました。
緊張した私は「はい、お店でも良く売れてる人気商品です」とか答えるのが精一杯。

そして藤田先生は、
「コレ下さい、いくらですか?」と。
「ハイ、3,600円です。」と私が普通に返事をすると小学館プロ社員は慌てて、
「いえ、先生、御代なんて頂きませんよ!君コレ包んで!」と。

「あ、ハイ」と返事をして流されるままにぬいぐるみを包装紙で梱包しようとした私を
今度は藤田先生が制します。

「いや、そういうわけにはいかないんです!
今日の会場には旭川から両親も来てるんです。
これは、僕の描いた漫画がちゃんと人気があって
アニメになってこういうキャラクター商品を作ってもらえるようになった。
僕が東京で漫画家としてちゃんとやってるという事を分かってもらうために、
両親にプレゼントするんです。

だから僕が自分の稼いだお金で買わないと意味が無いんです!」と。

小学館プロ社員の方は必死に先生を宥めようとしますが、
そんな事で引き下がる藤田先生ではありませんでした。

(今思えば、直接担当されてる編集者ではない関係会社の方が便宜を図ってくださるのは十分に人気漫画家の証明のような気もしますが・・・きっと藤田先生には通用しない理屈なのでしょう)

「君、ナニカその・・・・」困った小学館プロの方がこちらに振ってきたので
私は「じゃぁ、このテレカをサービスしますね」と、とらの袋にテレカを貼り付けて包装しました。

「そんなに気を使わないで下さい」
藤田先生は何度もそうおっしゃてましたが、
小学館プロの人も不安そうにしていたので
少し強引にテレカ付きのとらを押し付け、
ぬいぐるみの分だけ藤田先生からは御代を頂きました。

去年の騒動以来ネットではサンデーについて色々揶揄されていますが、
藤田和日郎はいい人だ!」と言うのは多分ガチです。



そのイベントで、久米田康治はかわいいお尻を披露して
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4009239 1:42〜1:47辺り
司会の島津冴子さんをドン引きさせていましたとさ、どっとはらい